1日中雨の日だった。天気予報によると、夜まで3mmの雨が降り続けるということだった。
しかし、その日は、自宅から少し離れた美術館に行くと決めていたため、とりあえず身支度をして外に出た。
冷たく湿った外気に身体が触れた瞬間、美術館に行く気はなくなった。
せっかく時間をかけてメイクしたのだから、ウィンドウショッピングでもしようと思い、電車に乗って、近くのショッピングモールへ向かった。
いくつかの雑貨屋を見て回ったところで、自分がひどく疲れていることに気が付いた。
「早く家に帰りたい」という思考が脳内を支配したが、すぐに帰路に就く気力もなかったため、カフェに寄って少し休憩した。
窓の外では、絶え間なく雨が降っていた。
落ち着いた音楽が流れる店内で頭と足を休めているはずなのに、先ほど襲ってきた身体の気だるさは一向に回復しなかった。
頭に浮かび上がるのは、自宅のベッドに倒れ込んでいる自分ばかり。
そのベッドは夢のように遠く感じる。今すぐそこまで移動できたらいいのに。
そんなことを考えているうちに日が暮れてきた。
そろそろ夕飯のことを考えなくてはならない時間だが、特に食べたいものも浮かんでこない。
とにかく、私は横になって眠りにつきたかった。
このままカフェで時間を過ごしていてもどうしようもないので、まだ微かに残っていた力を振り絞って腰を上げた。
帰宅すると、夕飯のことも考えないまま、渇望していたベッドにもぐりこんだ。
雨の音が弱まった。時刻を確認すると、夜の11時を過ぎていた。
私はこの1日を無駄なものにしないよう、自分と生きていくための一つの教訓を心に刻んだ。
「雨の日は無理して外出しないこと」